そのキスで教えてほしい
「信号を左だよな」

「はい……」

落ち着いた崎坂さんの声なのに、そわそわする気持ちが増してしまう。

あのキスは、なに?

車が動きだしてスーパーの駐車場を出ると、訊くタイミングを探していた。

車道を走り、信号にひっかかる。
体中に自分の鼓動が響いていた。
崎坂さんがウインカーを左に出したとき、私は口から息を吸った。

「この前のあれは、なんですか?」

先程からずっと速い胸の音が、体の熱を上げていくみたい。
思い出すと恥ずかしい、けど、あの時のことが気になってしょうがない。

「あれって?」

だけど相手はぱっと浮かんでこないらしい。崎坂さんにとっては大した出来事ではなかったってこと。
私は膝に置いている手を握りしめる。

「こ、この前の帰り際、崎坂さん私に……私に……」

キスと言葉に出していいのかわからずそこで口籠っていると、崎坂さんがふっと笑った。

ドキッとして、体に力が入る。
車は動き出して信号を左に曲がった。
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