そのキスで教えてほしい
「崎坂さん、鈴沢さん」

そこへ可愛らしい声がして、振り向くと木村さんが微笑みながらこちらにやってきた。

「さっき、営業部の湖島さんから声をかけられて。週末、飲みに行くような話を……」

「ああ。さっき聞いたよ」

崎坂さんも木村さんの方に体を向けて、にこりとしながら穏やかな反応をした。

だからわたしも笑って頷く。
朝から知っていたよ、なんて顔に出してはいけないし。

「た、楽しみだね」

「はい。鈴沢さんと崎坂さんとも初めてですよね。湖島さんから声をかけられたときは驚きました」

首を傾けながらそう言った木村さんに、私はあはは、と不自然な笑みをこぼす。
すると隣の崎坂さんがくすっと笑った。

なんですか、と横目で見ると、彼はそっと瞬きを加えて視線を落とす。

そのからかいじみた仕草に眉根が寄るけれど、速くなった鼓動に気づいた私はそれ以上崎坂さんを見つめるのをやめた。


木村さんとの会話を終え、彼女が去ったあと崎坂さんは再び笑う。

「鈴沢ってわかりやすいよな」
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