そのキスで教えてほしい
***


休日、崎坂さんと過ごした時間は楽しかった。

照れたりして困った部分はあったけれど、行動をするのに崎坂さんは私に気を使いながら、だけど自分の意見も伝えてくれたからサクサクと行動が決まっていた。

それはとても楽で、心地よいもの。
そういう状態を作れる崎坂さんに、もっと惹かれてしまった気がする。

帰り際、もしもあの時、崎坂さんの瞳を見て「帰りたくない」とつぶやいたら……どうなっていただろうか。


週が明け、いつものように出社して自分のデスクに着いた。

数分して崎坂さんもやってきて、普段通り挨拶をした。

意識しないなんて無理。
けれど、なんとか平然を装って過ごした。


「鈴沢。これ、新商品のデータ。それから企画書。プレゼン資料明日までにまとめておいてくれるか?」

「はい、わかりました」

午後。課長からファイルを受け取りデスクに戻った私は、さっそく資料作りに取りかかった。
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