失恋ワケあり両想い(仮)


私の気がすんだら、いつもみたいに手つないで帰ろう。


〝だから、だから、私のとこに帰ってきて……っ!!〟私の最後の願いは叶わなかった。


即死だったらしい。


救急車で運ばれた時にはもう――彼が私の元へ帰ってくることはなかった。


***


――彼の体が自宅へ戻ってきて2日後に通夜が執り行われた。


彼の死を知った中学、高校の友人が沢山おしよせた。


みんなが思い出話をしながら〝早すぎる〟と、涙を流す。


私の友人も来てくれてて〝大丈夫〟とか〝気を落とさずに〟とか色々言ってくれてたらしい。


けど、私の心には何一つ届いてなかった。


それどころか葬儀が行われているときも〝誰の葬式?〟とか〝悠はこないの?〟とか周りに惚けたことばかり聞いていた気がする。


それほど、彼の死のショックは私を正気ではいられなくさせたのだ。


全てが終わって小さな箱にだけが彼の家に帰ってきた。


彼のお母さんが〝ありがとう〟と、涙をこぼしながら私に頭を下げたときやっと今までのことを理解し涙が溢れた。


〝悠は、死んだんだ〟


< 6 / 15 >

この作品をシェア

pagetop