旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
藤波は真摯な眼差しをまっすぐ私に向けて告げる。彼の言葉通り、その瞳には深い覚悟が窺えて見えた。
「真奈美さまがどんな選択をされようと、わたしは最後まであなたの味方です。それがこの藤波の人生で幸福だと理解したうえで、真奈美さまはどうぞ自分らしい道を歩まれてください」
そう言って最後に目元を和らげた藤波の笑顔が優しすぎて、私の溜りに溜まっていた感情はついに爆発する。
「藤波……藤波ぃ~~、うわあああん、藤波~~ぃ!」
幼児みたいにワンワン泣き出した私を前にしても、彼は驚きもせずただ穏やかにハンカチを差し出す。こんな泣き方をしたのは中学生の頃におじいと大喧嘩したとき以来だけど、藤波にしてみればいつものことなのかも知れない。
喜怒哀楽の激しい私は、それこそ子供の頃はこうしてピーピー泣いて藤波に慰められては、ケロッとしていたのが日常茶飯事だったのだから。