旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~

「藤波ぃ、私もうどうしていいか分かんないよ~! 私、ちゃんと颯のお嫁さんになりたいのに、あいつのことこんなに好きなのに、どうして全然上手くいかないの!? 颯、すぐに怒っちゃうし、いつも喧嘩になっちゃうし……もっと優しくして欲しいよお~! 私のことちゃんと好きになって欲しいよお~~!」

みっともないほど感情をぶっちゃけられたのは、相手が藤波だからに他ならない。

メイクが崩れるのも構わずオイオイと泣き続け、あげくのはてに鼻を盛大にかんでも、藤波はじっと傍で見守り続けてくれた。

彼は私が感情を爆発させ落ち着かせるのが最善だと知っているから、ただ静かに待ってくれている。そんな私を知り尽くしている執事だからこそ、こちらも素直な自分をさらけ出せるのだ。

ようやく全てを吐き出し、えっくえっくと私がしゃくり上げ出すと、藤波は隣から立ち上がって紅茶を新しく淹れなおしてきてくれた。さっきより蜂蜜が多く入った甘めの紅茶。それを飲んで、やっと私は落ち着きを取り戻す。

ふうと一息ついたのを見て、藤波が再び向かいの席に腰を下ろした。
 
< 101 / 155 >

この作品をシェア

pagetop