旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
三人が肩を並べたことで、周囲の視線や雰囲気が一変する。
「おお。多忙な結城家の三兄弟がお揃いとは、珍しい」
「ご兄弟が揃った場に参加できるとは、光栄ですな」
幼い頃から世界中に留学やホームステイしていた彼らは、兄弟でありながら滅多に揃わなかったらしい。ましてや大人になり多忙極まりない今はなおさらだ。
周囲はまるで縁起物でも見たかのように和やかな雰囲気になり、あげくにはマスコミから撮影をお願いされ、おかげで気まずい緊張感は払拭された。
もしかして遼くんは兄たちの確執を知っていて、気を使ってくれたのだろうか。素晴らしい。義姉として後で頭を撫でてあげよう。
そうして撮影が終わった後、兄弟はそれぞれ客人と会話し始めたので、颯が充さんと険悪な雰囲気になることはもうなかった。
それから三、四十分が経っただろうか。
挨拶回りも終わり、颯も私もようやくひと息つく。とはいっても、一通りの挨拶が済んだだけで、今度は話しかけてくる客人との歓談が始まるだけだ。
コンツェルン次期総会長であり現常務でもあり執行役員も担っている颯と、この機会に直接言葉を交わしたい人は山ほどいる。普段は会議を通してでしか意見を言えない事業部役員も、株主も、直接は滅多に会えない取引先も、こぞって颯のもとへ押し寄せた。
もちろん、そういった人達の奥様方は私に話しかけてくる。バカンスやら別荘やら休暇のお誘い、アクセサリーやらドレスやらのコレクション貸し出しの申し出、美術品の買い付けの仲介に、新事業の融資の相談などなど。
こういうビジネスが絡んだ上流階級の会話ももちろん難なく交わせるけれど、さすがに少し疲れてきた。