旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
「うん、知ってる。私の旦那様は世界一頑張り屋で賢くて立派で――私の中でたったひとりの、一番だよ」
幹に背を預け身体を支えながら両腕を広げて見せれば、颯はスルスルと私のもとまで降りてきた。そして力いっぱい私を抱きしめて告げる。
「好きだ」
呆気ないほど短い言の葉には、颯の十五年分の想いが詰まっている気がした。
無礼な子供でしかなかった私のどこに惚れたんだか分かんないけど、十五年前のあの日からずっとずーっと、颯は私の一番になろうとしてくれた。
天才の兄を努力で凌ぎ、運さえも味方につけて結城コンツェルンのトップに立ち、そして堂々と私の結婚相手になったのだ。
『あんた、どんだけ私のこと好きなのよ。そりゃストーカーにもなるわな』
そう言って苦笑を浮かべたいのに、私の目からは涙がポロポロと溢れて言葉が出ない。
なんか私、だいぶ感激してるみたいだ。だってそうだよね、颯が私を好きだっただけでも嬉しいのに、長い間想ってくれていたうえ、こんな馬鹿げた告白にまで付き合ってくれて。
泣きながらギュウギュウと抱き合っていたら、颯が私の頬を撫でて顔を上向かせ、そっと唇を重ねてきた。
すごく、すごく優しいキス。唇を重ね合わせて、少しだけ食む動きが、なんだかくすぐったい。
間近で見る颯の顔は月明かりに縁どられて感動するほど綺麗で――。
私は初恋の王子様にファーストキスを捧げられた幸福に酔いしれながら、胸をときめかせた。