旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
「何?」
思わず受け取ってしまい中を覗き込んでみれば……驚くことにそこには非常に見覚えのある青いポップなデザインの小袋が大量に詰め込まれていた。
「ら、ラムネグミ! しかもこんなに沢山!」
「土産だ。お前それが好きなんだろ」
山盛りのラムネグミと、相変わらず偉そうに言い放つ颯の顔を、目を瞠って交互にキョロキョロと眺めてしまう。
「な、何? なんで急に優しくするワケ? 餌付けのつもり? あ、分かった。飴と鞭で私を躾けようって魂胆なんでしょ?」
まさか颯が私にお土産なんか買ってきてくれるなんて、予測もしなかった親切を受けて私は思いっきり動揺し不審の眼差しを向けてしまう。
すると彼は非常に苦々しい表情でネクタイを緩めながら、ソファへと腰を下ろした。
「本っ当にお前可愛くないな。夫が妻に土産を買ってきたら悪いのかよ。嫌なら別にいいんだぞ、もう二度としないから」
「あ、すみません。嬉しいです。ラムネグミないと生きていけないんでまた買ってきてください」
うっかり卑屈にも礼を述べれば、颯はニヤリと口角を持ち上げて「よろしい」と満足げに笑う。
くっそう。なんだかまんまとヤツの手の上で転がされてる気がする。
全てが颯の思う通りに進んでいて面白くない私は、もらったラムネグミをとりあえずキャビネットにしまい大切に鍵を掛けてから、文句を言う体制を整えた。