旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
「あのさあ。お土産がありがたいのは置いといて、なんで私って監禁されてるワケ? 颯が留守の間は出かけたっていいじゃん」
颯の向かい側のソファに座って真っ向から訴えるものの、彼はエラソーに腕組みをして尊大な態度で答える。
「駄目だ。結城に嫁ぐ立場の者が、外で男と逢引でもしようものならスキャンダルになるからな。俺の嫁になる自覚が出て、慎みを持つようになったら許可してやる。っつーか、外出禁止なだけで監禁じゃないだろ、物騒なこと言うな」
「はあ!? 男と逢引なんてするワケないじゃん! 私そんな淫奔な女に見える!?」
とんだ疑惑をかけられた私は驚きと怒りを滲ませて声を荒げたけれど。
「自分の胸に聞いてみろ」
どういう訳か颯は冷ややかな眼を向けて私にそう告げた。なんのこっちゃ。
「意味分かんない。私これでも貞淑に生きてきたつもりなんですけど」
身に覚えのない疑惑をかけられふてくされた私がそう反論すると、今度は颯は呆れた顔をして言った。
「ショートパンツで太腿丸出しで夜のコンビニをフラついてた女が“貞淑”ねえ。お前、貞淑の意味、辞書で調べてきたほうがいいよ」
「うわっ、腹立つ」
ほんっとーに嫌な男である。思わず怒りに任せて手元のクッションを投げつけてやりたい衝動に駆られたとき、部屋のドアがコンコンとノックされた。