旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~

「なっ、な、な、何言って……」

動揺マックス。私は顔を真っ赤にして噴出しかけた口もとの紅茶を手で拭った。

ときめきが甦りかけたところで、今の台詞は効いた。別に奥手な方ではないけれど、好きな男に抱かれることを意識して恥ずかしくならない乙女などこの世にはいない。

監禁のことばかりに気をとられていたけれど、考えてみたら私は今日彼と同じ寝床で夜を過ごすのだ。これって超一大事じゃない?

しかも颯は動揺している私を見てからかうかと思いきや、真面目に声をかけてくるではないか。

「悪い、今のはデリカシーがなかったな。反省する」

な、なんでこんなときに素直に謝るかなあ? 笑い飛ばそうよ、ここはさあ。じゃないと私、ますます颯にときめいてしまうんですけど?

すっかり頬を赤らめ俯いてしまうと、颯は椅子から立ち上がりこちらの席まで歩いてきて手を伸ばした。そして座っている私の頭を軽く抱きしめながら言う。

「……ちゃんと大切に抱くから。約束する」

きゃーー!!!と心で絶叫を上げながら、私のときめきメーターが針を振り切った。

悔しいけどやっぱり彼はイケメンだ。すべてに於いて。優しく紳士的に接されれば、私の心などコロリと恋に堕ちてしまう。
 
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