旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
きっと今の私は真っ赤な顔に無防備な子犬みたいな表情を浮かべているのだろう。少し腕を緩め、私の顔を見た颯がクスリと優しく笑って言った。
「真奈美は初めてだもんな。大丈夫、全部俺にまかせて。緊張しないで」
…………ん? ちょっと待って。
確かに私は処女だけども、七歳で婚約決められちゃったから他の男と恋することすらなかったけども。なんで颯だけそんなベテラン風吹かせてるの?
「颯だって初めてじゃないの? 私、婚約者がいるんだからってものすごく厳しく貞操を守るように教育されてきたんだけど?」
「……え? いや、それは……。ほら、男と女は違うだろ」
「は? じゃあ私だけ馬鹿みたいに純潔貫いて、あんたは今まで自由奔放に女遊びしてたってこと?」
「人聞き悪いこと言うなよ。男と女は違うって言ってるだろ」
な、なんかすっごいムカついてきたんですけど?
男と女は違うってなにそれ。貞操観念にそんな男女差別があっていいわけ? それにこいつ、さっき私のこと貞淑じゃないって馬鹿にしたよね? 自分は散々やることやってたくせに、処女の私をあざ笑ったわけ?