旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~

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生まれも育ちも生粋のお嬢様だという自覚はある。

けれど、どこでどう間違ってしまったのか私の感覚は超絶『庶民的』だ。

健康のことなど全く考えてないガンガンの冷房が効いたコンビニで、私は今週のジャンプを立ち読みしながら心の底からリラックスする。

ああ、やっぱりこれよこれ。このグダグダな感じたまらない。

結城財閥の嫁になるため小さい頃から堅苦しい令嬢教育を施されてきた反動だろうか。ピアノにバレエに社交ダンス、華道に茶道に乗馬と習い事はもちろん、上流階級の嗜みとしてクラシックやら絵画やらの知識も叩き込まれた。

立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花、なんて言葉に相応しい上品な所作なんて物心着く前から身体に教え込まされている。

そんな窮屈極まりない生活を強いられている私からしてみれば、この『コンビニで立ち読み』という行為はまるでパラダイスだ。

眉間に皺を寄せて読んだって怒られない、ぐにゃぐにゃと身体の重心を揺らしながら立ったって叱られない。ジャンプを読もうがマガジンを読もうが、誰も口うるさく言わない。

こんな素敵な自由が他にあろうか!
 
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