旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~

「えー……メッチャ気合入れてきちゃったんですけど……」

さっきまで鼻血を出しそうなほど意気込んでいた私は、ものすごい肩透かしに一瞬落胆したけれど……穏やかな寝息を立てる颯の顔を眺めながら、ソファーの前にそっと跪いた。

そして手を伸ばし、彼のサラリとした手触りの髪をそうっと撫でる。

「……そうだよね。毎日忙しいんだもん。疲れてるんだよね」

初めて見る彼の寝顔が無防備でなんだか愛しい。少しガッカリしたけれど、私は颯を起こさないようにそのまま寝かせてあげることにした。

本当はちゃんとベッドで寝た方がいいんだけど、このチェスターフィールドソファはかなり大きいから窮屈ではないだろう。

さやかに頼んで何か掛けてもらう物を持ってきてもらうと、彼女は毛布を持って部屋に入ってきて眉尻を下げて微笑んだ。

「颯さま、随分お疲れだったみたいですね」
 
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