旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~

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バイクを走らせること二十分。到着したのは打ち合わせ通り、藤波の住むマンションだった。

「へー、藤波ってこーいうとこに住んでるんだ。あんたとの付き合い長いけど、初めて知った」

「執事の住まいなど、興味を持たれることでもありませんしね」

藤波は淡々とそんなことを言いながらエントランスを通り抜けエレベーターに案内してくれたけど、私は初めて見る彼の居住に興味津々だ。

浅葱の屋敷からそう遠くないこのマンションは、シックで英国調の雰囲気が漂う煉瓦造りの外観をしている。

エントランスや廊下もアイアンのインテリアやグリーンディスプレでレトロなコーディネイトに統一されているけれど、ICカードや指紋認証のオートロックなどシステム自体は最新式のものらしい。

「狭い所ですがどうぞ」

謙遜しながら入れてくれた藤波の部屋は玄関もリビングもものすごーくキッチリ片付いていて、一目見て『藤波の部屋だ』と納得した。
 
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