【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
老夫婦はあの日警察へ出向き入院先を聞いたそうだ。
だが、当然ながら入院先を教えてもらえず極道だから関わらないように言われたと話してくれた。
私たちは黙ってお二人の話を聞いた。
テレビのニュースを見て病院を知り自分たちの為に怪我をしたのにお礼も言いに行かない事をとても心苦しく思っていたそうだ。
「それでも、関わらない方がいいと思いやす。世間の目がありやすからね」
三浦さんもいつもよりもっと優しい声色で気遣うような話し方をしている。
「この歳になるとそんなものは怖くないんですよ。それより恩を無碍にする方が落ち着かないんですよ」
お二人は、多少は緊張感があるがそれでも穏やかに話をしてくれた。
「傷の具合はいかがですか」
「もう大丈夫じゃけん。心配せんでよかばい」
お婆さんは気に入ってもらえるかどうかわからないけどと言って紙袋をゴソゴソとすると
「年寄りの作るもんなんで好みがわからないんですけどお見舞いに伺うまでの間に編んだんです」
それは、黒と白と赤のマフラーだった。
「うわぁあったかそうでステキ」
「わしみたいなもんが、こんなえぇもんもらってもよかとね」
「手編みのマフラーなんて初めてでごぜぇやすよ」
私たちは大喜びだ。