【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
そしてお茶を飲みながら事件の事ではなくまったく関係ない話をしているのも
私も由香里さんも経験者だからだ。
良かった事は怪我もなく犯人がすぐに捕まった事だ。
司の大手柄ともいうべきなんだろう。
琉や菫の話で笑っているとノックの音とともに桐生さんの声が聞こえた。
「結衣さん」
私を呼ぶ声が少し慌てていて何事かと急いでドアをあけた。
「結衣さんすいやせん。菫ちゃんが植木さんに叱られていて」
「あちゃ何やった」
「それが…」
由香里さんも怖いけれど菫の救出だと立ち上がり
司も明日実さんも立ち上がった。
歩きながら事の詳細を聞くとちょっと目を離したすきにサインペンで腕に絵を描いたそうだ。
それだけなら大した問題でもないと思うのだが、どうやらその絵が刺青を真似たような模様だったらしい。
これは、笑いたいが笑えない。
みんなが同じ思い。
これだけ柄入りの人間が多いのだから真似したいと思う気持ちもわかる。
しかしそれは普通じゃない。
隼にも入れさせないぐらい刺青反対派だ。
「ったく冗談じゃない」
「菫救出はやめとくか」
私と由香里さんは描いた菫が悪いという方向へ傾きはじめた。