【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
注意や叱る人はいつも誰か1人だけ。
決して他の人が一緒に叱る事はない。
そしてその後は、慰めたり励ましたりしてくれる人は大勢いる。
面白がって菫を揶揄い追い詰めるようなふりをする事はあるけれど
そんな時もその日のヒーロー役がいるわけで、菫はヒーロー役にすがりつく。
このあたりが私と大きく違う点だ。
私はどんな事があっても何があっても
「三浦さん」
そう、必ず三浦さんの名前を口にするからだ。
他の組員さんのこともかなり信頼しているのに申し訳ないぐらい三浦さんだ。
それは、隼とはまた全然別の位置にいるわけで隼の名前を連呼していたら喜んでずっと家に居続けると言い出すであろう。
そして残念な事に私を叱る時はみんなが口を揃えて言う事も菫とは違うところだ。
部屋の前へつくと三浦さんと桐生さんが立っていて
「琉坊ちゃんをこちらへ」
三浦さんに言われた。
桐生さんがいるという事は菫は桐生さんの元へという事だ。
子どもに聞かせない話をするからであろう。
襖を開け
「琉のお迎えが来た」
声をかけると渡したくないわと笑いながら佐和子さんが琉を抱いて連れてきた。
菫もすぐに桐生さんの手に繋ぎなおし離れた手が淋しそうな隼に
「パパあとで遊んであげるね」
慰めの言葉をかけていた。
響さんもとうに部屋へ来ていたようで並べられたお膳の前でビールを飲んでいる。
遅くなりましたと言ったところで隼が裸になって見せつけていたんだろうと響さんに言われた。
「パパの出番もありますから」
笑いながら言うと子どものように笑顔になるから藤堂組はやっぱり平和なんだと思う。