【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち


大和さんと明日実さんの紹介が終わり


「乾杯」


本当に久しぶりにみんなでグラスを合わせた。


すっかり気分は当時に戻り思い出話に花が咲いた。


「そんな楽しい時間を一緒に過ごしたかったわ」


「明日実さんがいたらもっと楽しかったよ」


アルコールが入るたびに私達も盛り上がる。


「一番変わったのは、隼だな」


「良く話すようになってなぁ。中身は奏じゃねぇかなんて言ったよな」


「ほんと無口だったよね」


チッとばつが悪そうな隼だが


「若がこんなに話すなんてびっくりですよ」


「ちょっとここで若とかお願いだからやめて」


「無理です。絶対に無理です」


頑なに拒み続けた。


明日実さんが私の1つ上だとわかると大和さんは隼や司のように


「明日実」と呼び春香さんも

「明日実」と呼んだ。


「結衣も結衣でいいよね」


「うん」

「結衣さんそれは無理です」


もしかして頑固?などと揶揄いながら大笑いだ。


明日実さんも極道なわけではない。


だから友人でしょって無理やりこじつけて


「結衣ちゃん」


どうにかここまで持って行った。


そして最終的に


「司くん」

「隼くん」まで行きつくのは大変だった。



「カウンターで若とか呼ばれたくねぇし」


司の一言だった。



呼び捨ては敷居が高すぎる。


親に絞められると懇願するのでくん付で妥協したのだが


「司は明日実と2人で通う気みたいね」


春香さんがこっそりと私に耳打ちをするもんだから私はにやにやと笑ってしまった。




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