ご主人さまの冷酷彼氏


「あ、あのね!今日、部活終わるの待っててもいいかな?」

「………」

「え……えっと、わたし、ちょうど委員会の用事で残るから、だから、駅まで一緒に帰れたらうれしいなーって……」



……なんてひかえめで可愛らしいお誘いだろうか。


おれだったら、一つ返事で「喜んで!!」だ。なのに。



「あー……べつにいいけど」



タカシが発した返答に、おれは眼を剥き、毛を逆立てた。



……は?べつに、いいけど?



何様だお前。あかねがわざわざ。かわいい彼女がわざわざ、階が違う教室まで、会いに来てくれたっつーのに。


わざわざ一緒に帰ろうって、誘ってくれてるっつーのに……!!



「じゃ、じゃあ!それだけ……ばいばいっ!!」



女子軍団の敵意満載の視線に遠慮したのか、あかねは足早に去っていく。


その背中はしゅんと丸まっていて、どこかさみしそうだ。


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