ご主人さまの冷酷彼氏
……追えよ。
無表情のまま自分の席に戻るタカシを、鬼の形相でにらみつけながら、俺は思った。
……今すぐ教室を飛び出てあかねを追えよタカシ!!
追って、わたくしめなんかのところに足を運んでくださってまことに、まことにありがとうございますこの上ない幸せ、くらい言えよ。
喜べよ。前転後転、廊下を転げ回って喜べよ。
そのムダにデカい体をべこっと折り曲げて礼をしろよ。45度の最敬礼を行えよ……!!
校舎が傷つこうが知ったこっちゃねえ。
おれは思いっきり、ギギイ、とかべに爪を立てていた。
やっぱりだ。
悪い予感は大当たりだ。
タカシがまさか、こんなに能面の、冷酷なヤツだったなんて……!!