ご主人さまの冷酷彼氏
そんなタカシのまわりには、あっという間に、女子の輪ができあがっていた。
……俗に言う、ハーレムってやつだ。
「貴志くんっ、宿題してきた!?」
「……あー」
「見せよっか!?なんならわたしがしようか!?」
「……いい」
「ね、昨日の特番見たー!?貴志くんに似てるモデル、出てたよねー!!」
女子たちは、それぞれ口々にタカシに話しかけ、きらきらしたまなざしを向けている。
それらに対し、タカシは首を振るか、1文字2文字の短い返事をするだけだ。
……なんだよ。
男前なのはちょっっとばかし認めてやるが、ずいぶん愛想のないヤツだな。
まあ、女ならだれでもいい顔するアホなタラシ男ではないのかもしんねーけどさ。
そんなふうに思っていた、ときだった。
「……貴志くんっ」
大好きなあかねの声が響いて、おれはぴくっと、体をふるわせた。
おどろいて、声の方……教室の出入り口に目線をやる。
そこには、遠慮がちに顔をのぞかせる、あかねのすがたがあった。