ご主人さまの冷酷彼氏


そんなタカシのまわりには、あっという間に、女子の輪ができあがっていた。


……俗に言う、ハーレムってやつだ。



「貴志くんっ、宿題してきた!?」

「……あー」

「見せよっか!?なんならわたしがしようか!?」

「……いい」

「ね、昨日の特番見たー!?貴志くんに似てるモデル、出てたよねー!!」



女子たちは、それぞれ口々にタカシに話しかけ、きらきらしたまなざしを向けている。


それらに対し、タカシは首を振るか、1文字2文字の短い返事をするだけだ。



……なんだよ。


男前なのはちょっっとばかし認めてやるが、ずいぶん愛想のないヤツだな。



まあ、女ならだれでもいい顔するアホなタラシ男ではないのかもしんねーけどさ。



そんなふうに思っていた、ときだった。




「……貴志くんっ」




大好きなあかねの声が響いて、おれはぴくっと、体をふるわせた。



おどろいて、声の方……教室の出入り口に目線をやる。


そこには、遠慮がちに顔をのぞかせる、あかねのすがたがあった。


< 8 / 26 >

この作品をシェア

pagetop