籠のなかの小鳥は
蘇芳から贈られた装束の数々には、平民なら一生食べてゆけるほどの値打ちがあるという。
それならば、とつい考え付いたことがあった。
小鳥とさほど年も違わない女房の一人が、つい先ごろ父を亡くし、実家には母と幼い弟妹が残されて、暮らし向きが不安だと、他の女房にもらすのを耳にしたのだ。
なにせ御簾や几帳や屏風で仕切ってあるだけで、壁がほとんどない寝殿造り。話し声がよく聞こえるわけで。
贈り物が届いた翌日、得意げに顔を出した蘇芳に、だから小鳥は願い出た。
「わたしの着るものは、十分すぎるほど足りております。女房たちのなかには、暮らし向きの豊かでないものもおりますので、いただいたものを授けてもよいでしょうか」
蘇芳は、座していた茵(しとね)を蹴り上げて去ってしまい、あとには呆然とする小鳥と、おろおろふためくかづらが残された。
それならば、とつい考え付いたことがあった。
小鳥とさほど年も違わない女房の一人が、つい先ごろ父を亡くし、実家には母と幼い弟妹が残されて、暮らし向きが不安だと、他の女房にもらすのを耳にしたのだ。
なにせ御簾や几帳や屏風で仕切ってあるだけで、壁がほとんどない寝殿造り。話し声がよく聞こえるわけで。
贈り物が届いた翌日、得意げに顔を出した蘇芳に、だから小鳥は願い出た。
「わたしの着るものは、十分すぎるほど足りております。女房たちのなかには、暮らし向きの豊かでないものもおりますので、いただいたものを授けてもよいでしょうか」
蘇芳は、座していた茵(しとね)を蹴り上げて去ってしまい、あとには呆然とする小鳥と、おろおろふためくかづらが残された。