雨恋~芸能人の君に恋して~
―side yuki―





イタリアで靴。フランスでは洋服。ドイツでは時計。ベルギーではチョコレート。



それぞれの国に行くたびに、これは琉宇に似合いそうだな。



とか、



これは琉宇が喜びそうだな。



なんて思ったものを、片っ端から買い込んだ。



そんな俺を見て、マネージャーは呆れかえっていた。



一週間の撮影を終えて、成田空港に到着した俺に、マネージャーが忠告する。



「優紀と相澤琉宇のことで、国内は大騒ぎだ。報道陣が詰めかけてるだろうが、余計なことは言うなよ」



そんなマネージャーの言葉通り、空港は報道陣とファンで埋め尽くされていて。



けど、そんな祭りみたいな状況を、どこか楽しんでる自分がいた。



「相澤さんと、どのような関係ですか?」



ありきたりの質問に、にやけそうになる。



噂の相手が琉宇ならば。俺にとって、これ以上幸せなことはない。



開と琉宇との噂は、開がきっぱりと否定したことで、あっさりと鎮静化した。



その代わりに、降って沸いたのが、俺と琉宇とのスキャンダルだった。



< 92 / 94 >

この作品をシェア

pagetop