先生、俺を見て(仮)
そんな中、蛍(けい)も同じように準備をしていた。
アルバイトで講師をしてる蛍。
普段は大学四年の二十二歳
全国的に見ても上位に入る国立大学に通う現役女子大生だ。
「ほたるー」
隣のスペースで授業をしていた親友の由依(ゆい)が、間にある仕切りから顔をのぞかせる。
「けいだってば。いい加減覚えてよ由依」
「いいじゃん別にぃ。ほたるはもうあだ名みたいなもんでしょ。それよりさ、次、新しい生徒でしょ。どんな子?」
そう
今日は新しい生徒がやってくる。
「高校生。男子」
落ち着いた調子で答えると、由依は興奮気味に反応を返してきた。
「いいなあ男子高校生!若い男!!」
うっとりとした表情で頬を染めている。
きっと妄想タイムに突入したのだろう。
これは彼女の癖。恋愛体質の為、いろんな人との恋愛シュミレーション的なものを妄想しているのだ。
「いいねいいねえ、先生と生徒の禁断の恋!うらやましいわあ」
「何妄想してんの、そんなことありえないから」
「有り得るよ!!絶対ありえる!はああーいいなあー」
「もう...由依ほら授業始まるよ」
なおも妄想を続ける由依を授業に促し、蛍は改めて生徒の資料に目を通した。