才川夫妻の恋愛事情

言われた新人くんは困ったように笑っていた。……困るよねそんなこと言われても!ごめんね!



「ごめんね、気にしなくて大丈夫だから。……才川くん、ちゃんとしてください」

「えぇ……いいじゃん、花村ぁー」



言いながら肩を頭でぐりぐりとして甘えてくる。……なにこのかわいい生き物!誰!と悶絶しそうになりながら耐えた。耐え抜いた。



「お茶飲みますか?」

「……ん、飲む」



あ、飲むんだ。

やっぱりビールばっかりは嫌だったのかな。



手をあげて店員さんを呼ぼうとすると、先に新人くんが「すみませーん! あったかいお茶三つ!」と頼んでくれた。ほんとにできた新人だ……。こんな子相手に、この人は。何をしているんだろうとため息をつく。









歓迎会がお開きになって、才川くんはすぐにタクシーに押し込まれていった。それを見送って、私も帰路へつこうとした。



「花村、大丈夫か?」



声のほうを振り向くと、竹島くんが心配そうな顔で私を見ていた。同期の彼は面倒見がよくて、私のことも才川くんのことも気にかけてくれている。大丈夫か、というのはきっとさっきのキスのことだろう。


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