才川夫妻の恋愛事情
「大丈夫、ありがとう」
「あいつ昔から酒癖悪すぎるよなぁ。サシで飲んだらそんなことないんだけど、こういう宴会だとハイになっちゃうのか必ず酔って花村に絡んで……」
「そうねぇ、困ったねぇ」
「……俺から才川に言おうか?」
「んーん、酔ってるからあぁなだけでシラフに戻ったら反省してるから。そっとしておいてあげて」
「……お前」
「なに?」
「良くできた嫁だよな……」
「……」
そう言われて何とも言えない気持ちになる。ごめん、竹島くん。ほんとに申し訳ない。
今の会話の中には嘘があった。
あの男は、少しも酔ってなんかいません。反省もきっと、していません。
「家まで送ろうか?」
「ううん大丈夫。私は飲んでないしちゃんと帰れるよ。本当にありがとう、竹島くん」
そう申し出を断って、私もタクシーに乗り込む。才川くんが乗っていったのとは逆方面へ。