才川夫妻の恋愛事情
「どうしようかなぁ……」
「……」
そう言った才川くんは、意地悪でもなんでもなく、ただ困っていた。お医者さんに大丈夫と言われてもやっぱり不安なようで、最近の才川くんは我慢している。と、思う。
こういうとき背中を押してあげるのは得意だ。
「逆に今のうちだと思いますけどね」
「……」
「今のうちにしっかり可愛がってくれるべきだと思います、私を」
「……っふ」
――笑った。それに満足して私も笑うと、才川くんは「うん、そうする」と言って私の額にキスをした。
そして連れていかれたベッドの中。
繋いだ両手を万歳するように枕の両端に押し付けられながら、私は彼を見上げていた。まだ朝なのにカーテンを閉め切ったせいで薄暗い部屋の中。はっきりと表情がわかる。
少し緊張している。
「子どもの名前なんだけど」
そう切り出した彼の言葉を遮るように、繋がれた両手の指の間を強く握る。それに気づいて才川くんは私の言葉を待つ。
「……なに?」
「才川くん、一つすごいことを言ってもいいですか?」
「…………すごいこと?」
「私、才川くんがなんて名前つけたいかわかる気がします」
「嘘だ。それはさすがに」
「ほんとに」
「一回も言ってないんだけど」
「うん。でも自信ある。絶対あってる」
「すごいなお前」
機嫌よく笑ってついばむキスをする。