才川夫妻の恋愛事情
ご飯を食べて、洗い物を終えたところで“ふぅっ”と息をつく。エプロンで水に濡れた手を拭う。脱衣所まで行って、エプロンはそのまま洗濯カゴの中へ。
リビングに戻ると、才川くんはソファで夜のニュースを見ていた。私はその隣に腰を下ろす。
彼は特に私を気にする様子もなく、黙って膝に頬杖を突いてニュースを眺めている。
何がそんなに気になるんだろうと思って私もテレビに目を向けると、取り上げられていたのはパンダの赤ちゃん。クールな顔でじっとパンダを見つめている才川くんが可笑しくて、つい笑いそうになってしまった。
ーーしばらくして。
(……眠い……!)
私は急激な眠気に襲われていた。今朝は頼まれ事があって一時間早く出社したのだ。一日よく働いて、その上この満腹感。眠くならないわけがない。
あとはお風呂に入って眠るだけなんだけど。
それでも、せっかく夜に二人でゆっくりできる時間だしなぁと、うつらうつらしながら頑張って起きていた。
ニュースが何を言っているのかもよくわからなくなってきた頃。隣の才川くんが話しかけてくる。
「眠い?」
「ん……」
眠い。ものすごく眠い。でも正直にそう言えば、「ここで寝るなよ」と注意されて終わるだけなのは目に見えていた。
私の曖昧な返事に、才川くんは顔を覗き込んでくる。
「寝そうになってるだろ」
「や、そんなことは……」
あぁもうくる。くるぞ、退去命令が。「自分のベッドで寝ろ」って、これまで何度も言われてきた言葉はもう、彼の声で脳内再生できてしまう。
粘ったところで結果は変わらないのに、往生際悪く「眠くない」と私が否定していると。
近くにあった顔が更に迫ってきて、チュッと私にキスをしていった。
(…………あれ?)
今のはなに?
朦朧とした頭で考える。
彼の顔はまだ目の前にあって、至近距離で目が合う。すぐに視点が合わなくなったと思うと、またキスをされていた。
(あれ? あれ……?)
「ん、ん……」
突っぱねる理由もなくて、彼の首に腕を絡める。ハッ……と息継ぎする瞬間に視線が絡んで、才川くんはまた角度を変えてキスをした。
「ふ、ん…………するの?」
雰囲気を壊さない程度の声で囁くと、同じく雰囲気を壊さないくらいの声が返ってくる。
「どうしよう。……眠そうだし、やめとく?」
「はんっ……」
やめとく?と訊きながら、彼はやんわり胸に触れてきた。久しぶりの甘い雰囲気。本当だったら「眠くないよ! 全然!」と喜び勇んで迎え入れたいところだ。
あぁっ……でも、どうしよう。
本当に眠い……!
「あっ……あっ」
くすぐる指先に感じつつ、目を開けているのもつらかった。なんで今日なんだろう!
最初からわかっていれば、昨日は早く寝てベストコンディションで臨んだのに。
すべては彼の気まぐれ。
「やっぱり眠そうだな……やめとくか」
「やぁっ……」
久しぶりなのに?
でも眠い。
でもしたい!
ううんと唸って、迷った末に。……苦肉の策だ!
才川くんの首をぎゅぅっと抱きしめて言った。
「寝てる間にして……」
「……たまにすごいこと言うよな。お前」
リビングに戻ると、才川くんはソファで夜のニュースを見ていた。私はその隣に腰を下ろす。
彼は特に私を気にする様子もなく、黙って膝に頬杖を突いてニュースを眺めている。
何がそんなに気になるんだろうと思って私もテレビに目を向けると、取り上げられていたのはパンダの赤ちゃん。クールな顔でじっとパンダを見つめている才川くんが可笑しくて、つい笑いそうになってしまった。
ーーしばらくして。
(……眠い……!)
私は急激な眠気に襲われていた。今朝は頼まれ事があって一時間早く出社したのだ。一日よく働いて、その上この満腹感。眠くならないわけがない。
あとはお風呂に入って眠るだけなんだけど。
それでも、せっかく夜に二人でゆっくりできる時間だしなぁと、うつらうつらしながら頑張って起きていた。
ニュースが何を言っているのかもよくわからなくなってきた頃。隣の才川くんが話しかけてくる。
「眠い?」
「ん……」
眠い。ものすごく眠い。でも正直にそう言えば、「ここで寝るなよ」と注意されて終わるだけなのは目に見えていた。
私の曖昧な返事に、才川くんは顔を覗き込んでくる。
「寝そうになってるだろ」
「や、そんなことは……」
あぁもうくる。くるぞ、退去命令が。「自分のベッドで寝ろ」って、これまで何度も言われてきた言葉はもう、彼の声で脳内再生できてしまう。
粘ったところで結果は変わらないのに、往生際悪く「眠くない」と私が否定していると。
近くにあった顔が更に迫ってきて、チュッと私にキスをしていった。
(…………あれ?)
今のはなに?
朦朧とした頭で考える。
彼の顔はまだ目の前にあって、至近距離で目が合う。すぐに視点が合わなくなったと思うと、またキスをされていた。
(あれ? あれ……?)
「ん、ん……」
突っぱねる理由もなくて、彼の首に腕を絡める。ハッ……と息継ぎする瞬間に視線が絡んで、才川くんはまた角度を変えてキスをした。
「ふ、ん…………するの?」
雰囲気を壊さない程度の声で囁くと、同じく雰囲気を壊さないくらいの声が返ってくる。
「どうしよう。……眠そうだし、やめとく?」
「はんっ……」
やめとく?と訊きながら、彼はやんわり胸に触れてきた。久しぶりの甘い雰囲気。本当だったら「眠くないよ! 全然!」と喜び勇んで迎え入れたいところだ。
あぁっ……でも、どうしよう。
本当に眠い……!
「あっ……あっ」
くすぐる指先に感じつつ、目を開けているのもつらかった。なんで今日なんだろう!
最初からわかっていれば、昨日は早く寝てベストコンディションで臨んだのに。
すべては彼の気まぐれ。
「やっぱり眠そうだな……やめとくか」
「やぁっ……」
久しぶりなのに?
でも眠い。
でもしたい!
ううんと唸って、迷った末に。……苦肉の策だ!
才川くんの首をぎゅぅっと抱きしめて言った。
「寝てる間にして……」
「……たまにすごいこと言うよな。お前」