才川夫妻の恋愛事情
「……なんで、こんな……っ。昨日は、気分じゃない、て、言ったっ、くせに……」
「は……焦らされて悶々とした?」
「っ」
「〝今日は気分じゃない〟って言ったら、物欲しそうに俺のこと見てたな」
「……そういうこと言わないで」
「……ごめん、みつき。おさまらない」
「え」
言われた言葉に反応して視線を上げると、才川くんはがばっと自分の着ていたトレーナーを脱いだ。
「……」
裸の体が露わになって、私は微塵も動けなくなる。細い体に適度についた筋肉は、堅すぎずしなやかだ。さっきの行為のせいで少しだけ汗ばんだ肌。久しぶりに間近で見る綺麗な体。
見惚れていると才川くんはまた身をかがめた。上にのしかかられたまま両肘を顔の左右に突かれて、正面から視線を捉えられる。息がかかるほどの至近距離で目が合うと、ドキドキして死んでしまうんじゃないかと思う。余裕な表情の中に一つ宿る、深く吸い込まれそうな瞳の中の欲情。
「……舌。出して」
――あぁ、そうだ。この目だ。
もう一度そろりと首に腕を回して小さく口を開く。久しぶりに触れた肌が気持ちよかった。躊躇いながら、少し、自分から舌を伸ばす。