二度目の恋



「あなたが言う20年、美奈ちゃんがどんな辛い思いをしながら生きてきたか、知ってますか?」



そう話すと、彼は作業をやめ眼鏡を外し
俺が座る反対側へと腰を下ろした



「その20年、君が見てきた……ってこと?二十歳の君が?」



半笑いの社長さん
彼の顔を近くで見るのは初めて
……やっぱりだ、



「……見てきましたよ、ずっと頑張っている美奈ちゃんを。」



俺は持参してきたある物を
口の中へ入れ、保存用容器に入れて
彼に渡した



彼は意味がわからない……という感じで
俺の方を見ていた



「俺のDNA、検査してください」



その言葉にはぁ?と呆れた声がした



「……対象は、どなたでもいいですよ?……もちろん、貴方でも」



そう言って俺は立ち上がり
部屋を出ようとしたら呼び止められた
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