二度目の恋


実家を出て、一度だけ
弟の翔太に偶然会った


家を出て10年経った頃だった
中学生だった翔太は
新社会人なのかリクルートスーツを着ていた



「……おねぇ…ちゃん」


当時働いていた設備会社
そこにいつも来ている担当者の人に
連れられて翔太は来た



私は離縁された時に
母方の祖母の旧姓を与えられていた
だから、翔太は驚いていたけど



「親父も、お袋も元気だよ。……一度、帰ってみたら?」


弟はどこまで知っているのか…
何を知っているのかわからない



『翔太……私はもうあなたのお姉ちゃんじゃないの。わかるでしょ?』
『私は、親を捨てたの。その親も私を捨てた……。ごめんね、翔太』



会いたくなかった
翔太は……私に会ったことを
両親に言ったのだろうか……

言ったとしても
私には関係ない話だ
< 11 / 269 >

この作品をシェア

pagetop