二度目の恋



少し落ち着いた頃
トン、トン、とドアを叩く音に気がついた



「美奈ちゃん、大丈夫?」


多分、遥輝はずっと
ドアの前にいてくれたんだと思う



『ん……ごめん。』



「美奈ちゃん……ゆっくり身体を温めてからあがってね」



遥輝の優しさが、また私の涙を誘う
佐野部長に触れられた感覚が消えない
一輝に抱かれたい……
この感覚を消してほしい


けど、そんなわがまま言えないし
絶対言いたくない。
もし、一輝に知れたら
一輝は佐野部長を解雇してしまうだろう


そんな個人的な感情で
一人の人生を手に掛けて欲しくない


この事は誰にも言わない
今日は自分を抱きしめて寝よう


寝れるか正直、わからない
けど、そうしないと
自分を保てなさそうだ


お風呂を上がり、着ていたワンピースを捨てようと、キッチンにあるゴミ箱目掛けてドアを開けた
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