二度目の恋



その人は弁護士だった
彼の親は会社を経営していて
その会社の顧問弁護士だという


彼は将来、会社を継いでいくという
その道に私は必要ないという


手切れ金……だそうだ
それと、中絶費用と慰謝料
全部で600万円



『必要ありません、帰ってください』


私はそのお金を弁護士に返した
弁護士はまた来ると言って帰った


そのあと、両親に怒鳴られ
頬を叩かれ散々だった


「恥を知れっ!」
「ご近所さんに知られたら……」


その日の夜から
両親は毎日喧嘩をするようになった
その内容は中絶の話
そして、世間体を気にすることばかり


中絶……したくない。
どんな理由にしろ
私のお腹には命が宿っている

中絶するということは
私が人殺しをするということ
私には……出来ない



その日の朝方
両親が寝静まっている中
私は一人で家を出た。
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