溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜
「え、じゃあ、なんて。
 ……飛鷹さん?」

 ちょっと照れるな、と思っていると、
「昌磨でいい」
と言い出す。

「えっ」

「店の中だけだぞ」

「みっ、店の中だけですねっ。
 了解ですっ」
と言うと、昌磨は少し考え、

「会社以外ならいいか」
と言ってきた。

 すると、今、この瞬間も、昌磨さんでいいのでしょうかっ。

 いやっ、緊張して呼べないっ、と花音は慌てふためく。

「そっ、そういえば、会社に車がありましたけど。
 あれ、呑むから置いてきたんだったんですね」

「呑みながら弾くのがいいんだ」
と昌磨は言う。

「ま、客が居るときは、呑みながらは弾かないけどな」

「あっ、本当はもっとゆっくりしたかったんですよね、すみません」

「花音――」
「はい、なんですか?」

「いや、呼んでみただけだ」

 そんなこと言われると、ちょっとどきどきするんですけど。

 でも、今のは単に、言いたい言葉を呑み込んだからのようだった。

 なんなんだろうな、と思いながら、その横顔を窺う。


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