溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜



「すみません。
 送っていただいて」

 外に出て、少し酔いが覚めた花音が神妙な面持ちで言うと、
「いや、いい」
と昌磨は言う。

 しかも、また、山のような紙袋を持ってもらっていた。

「申し訳ありません」
と言うと、

「花音、お前人懐っこいのはいいが。
 少しは警戒しないと、変な奴に連れ去られるぞ」
と言ってくる。

 変な奴に連れ去られるって、私、子供じゃないんですが……。

「いや、私、普段は初対面の人には、ちょっと照れがある方なんですが。
 お酒の力でしょうかね……。

 って、変な人って、誰ですか?」

 昌磨は渋い顔で、
「良だろう」
と言う。

 ははは、と花音は笑った。

「今、人の良さそうなご夫婦が、実はイタリアンマフィアでって想像しちゃいましたよー」
と言うと、

「イタリアンマフィアがお前をさらって、なんの得があるんだ」
と言ってくる。

 そこで、花音は、あれ? と昌磨を見上げた。

「そういえば、花音になってる……」
と呟くと、昌磨は少し赤くなり、

「良につられたんだ」
と言う。

 あいつが、花音さんとか言うから、言い訳のように昌磨は言った。

「花音でいいです。
 花音にしてください」

 そう笑うと、昌磨は目を逸らした。

「お前も店で課長はやめろ」
< 47 / 232 >

この作品をシェア

pagetop