溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜
 


「おはようございますー」

 翌朝、職場のトイレに入ると、化粧を直していた先輩たちが居たので、花音は笑顔で挨拶をする。

 すると、江波香穂(えなみ かほ)という二級上の先輩に腕を引っ張られた。

「ちょっと来て」
と人気のない階段に向かい、引きずって行かれる。

「お、おはようございます。
 あの、なんでしょう?」
と引きずられながら言うと、香穂は手を放す。

 周囲を見回し、小声で訊いてきた。

「あんた、昨夜、課長と電車で帰ってなかった?」

「あ、はい。
 たまたま一緒になったから」

「でも、二人とも呑んでなかった?」

「た、たまたまお互い呑んでたから?」

 なんで疑問系よ、と言われる。

 だが、よく考えたら、昌磨は顔に出るほどは呑んでいない。

 カマをかけられたのだろうと、ようやく気づいた。

 香穂は腕を組み、横目にこちらを睨みながら、
「あんた意外と手が早いわね」
と言ってくる。

「なにもしてませんってばっ」
と言うと、香穂は、窺うように見ながら訊いてきた。

「じゃあ、ほんとに沢木くんと付き合ってないんだ?」

「へ? 拓海?
 ああ、それはもう」
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