早く俺を、好きになれ。


どれくらいそうしていたのかはわからないけど、気付いた時には辺りはオレンジ色に染まっていた。


泣きすぎて目が痛いのと、涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔をスッキリさせたくてトイレへ向かう。



洗面所の鏡を見ると、目が腫れぼったくなって真っ赤に充血していた。



うわ、最悪。


泣いたってバレバレじゃん。


……はぁ。


もう帰ろう。



トイレを出て昇降口に向かう途中、運動部の部活終わりの人とすれ違う。


顔を見られるのが嫌でうつむき気味に歩きながら靴箱の前まできた。


するとーー。



「咲彩?」



ギクッとして足が止まる。


どうしてこう会いたくない時に会っちゃうかな。



虎ちゃんはバスケ部の男子数人と昇降口にたまっていて、私に気付いて輪から抜け出してきた。


男子たちの冷やかす声が聞こえたけど、相手をしている元気はないのでスルーする。



「今帰り?つーか、今日部活だったんだ?」



「……ううん」



鼻声を聞かれたら泣いていたのがバレそうで、できるだけ短く答えた。


< 191 / 307 >

この作品をシェア

pagetop