早く俺を、好きになれ。
下を向いたまま、顔は上げられない。
そのまま上履きを脱いでローファーに履き替えた。
「虎ー、早くしろよ。俺ら、もう腹ペコ」
「あー、俺やっぱやめとくわ。悪いけど、お前らだけで行ってきて」
バスケ部の男子たちに謝る虎ちゃんの声を聞きつつ歩き出す。
今はひとりになりたかった。
それに、虎ちゃんの優しさに甘えてばかりはいられないから。
「ちょ、おい咲彩。待てよ、一緒に帰ろうぜ」
「約束……してたんでしょ?私はいいから行ってきなよ」
虎ちゃんを避けるように歩くスピードを速める。
とにかく一刻も早くここから離れたい。
「おい、待てって。何かあったのか?」
隣に並んだ虎ちゃんが、様子のおかしい私の顔を覗き込む。