早く俺を、好きになれ。
しばらくすると、虎ちゃんは何も言わずに歩き出した。
声をかけることなんかできなくて、小さくなっていく虎ちゃんの背中を見ていることしかできない。
取り残された私は、涙がこぼれ落ちないように必死に顔の筋肉に力を入れた。
虎ちゃんと、このまま友達でいるのはムリ。
それは……私が望んだこと。
だから、私が泣くのはまちがってる。
でも、我慢できない。
「んだよっ……あいつ。マジ、ありえねぇ」
ひとりごとのように斎藤君がつぶやく。
大切な仲間を失ってショックを隠しきれていないのか、その顔はとても悲しげなものだった。
「ごめ、ん……私の、せいだよね?」
私が……私が虎ちゃんを追い込んだから。
そのせいで、虎ちゃんはバスケを……。
「市口さんのせいじゃない。あいつ……学校祭前ぐらいから伸び悩んでたから」
「え……?」
学校祭前から?
初耳だった。
だって、虎ちゃんが伸び悩んでるなんて知らなかったよ。
「そんぐらいの時期からミスを連発しててさ。俺らには何も言わなかったけど、相当悩んでたんだと思う」
「…………」
「スランプってやつだな」
スランプ……。