早く俺を、好きになれ。
「あ……ごめん。言ってなかったな。うん、織田だよ」
「…………」
そう言った武富君の声と表情がとても優しくて、胸が締め付けられた。
武富君に彼女がいたということ。
それが織田さんだったなんて、とてもじゃないけど信じられなくて。
うそ、だよね?
冗談でしょ?
きっかけは?
どうやって知り合ったの?
信じたくないよ……。
お願いだから、うそだと言って。
武富君の赤い顔を見ればホントのことだってすぐにわかるのに、うそだと信じたかった。
「織田と武富がねー。ビックリだな」
虎ちゃんが驚きの声を上げる。
ただただ、胸が痛くて苦しくて。
もうこれ以上なにも聞きたくない。
「あ!俺らが付き合ってることは、内緒にしてくれるとありがたい」
「はぁ?なんで?」
やめて。
織田さんのことを話す武富君の照れたような顔なんて見たくないよ。
ツラくて、胸が張り裂けそうで。
きっとこのままじゃ泣いてしまう。
「目立ちたくないって彼女が言うから。ごめん」
知らなかった。
織田さんのことを話す時、武富君はこんなにも優しい顔になるんだ。
それは、私がいくら頑張っても絶対に見せてくれないような特別な顔。
彼女だけに見せる……特別な顔。
知らなかった。
そんなにも織田さんが好きだなんて。