早く俺を、好きになれ。


「あ、ありがとう」



「クッキー美味かったし、そのお礼」



「べつにそんなの良かったのに」



ホント、こういうとこは律儀なんだから。


「なんか目赤いけど、泣いた?」


ーーギクッ


「な、泣いてないよ」


「今日元気ないっつーか、朝から変だし。なんかあったのか?」


虎ちゃんは意外と鋭くて、いつも私の些細な変化に気づいてくれる。


でも今は誰にもバレたくない。


「なんでもないよ。ただ寝不足なだけだから」


「ならいいけど」



虎ちゃんは私の隣に座ると、持っていたコンビニの袋をガサゴソと漁った。


そして、パンを出して食べ始める。


成長期でお腹が空くからなのか、お弁当は2時間目が終わった後の休み時間に食べ終えてしまったらしい。



「このパンうまっ!咲彩も一口食う?」



カレーパンが虎ちゃんの最近のマイブームで、色んなお店のを食べ比べしてるんだとか。


ホント、マイペースだよな。


私はそんな虎ちゃんに首を横に振って返事をした。



「虎ちゃんって、悩みとかなさそうだよね」



はぁと盛大にため息を吐いた。


常にゴーイングマイウェイだし、自由だし。


虎ちゃんを見てると、悩んでる自分がバカみたいに思える。



「それって褒め言葉?」



「え?いや、どうだろ」



どちらかといえば、失礼にあたる言葉じゃないかな。


能天気って意味だし。



< 65 / 307 >

この作品をシェア

pagetop