早く俺を、好きになれ。
気が乗らないままお菓子作りも終盤を迎えた。
カラメルが少し焦げたけど、織田さんに教えてもらいながらわりとうまくできた。
「すごいすごい、初めてなのに上出来だよ」
えへ、織田さんにも褒められちゃった。
「市口さんは誰かにあげるの?」
試食中、チーズケーキを頬張りながら織田さんが聞いて来た。
織田さんが作ったチーズケーキはすごく濃厚で、口の中でスーッと溶けて消えるフワフワの食感がたまらなかった。
お店のよりも美味しい気がする。
いいな。
すごいな。
やっぱり……敵わないな。
そこでまた打ちのめされて、傷が広がって行くような気がした。
「市口さん?」
「えっ!?」
「聞いてる?」
しまった。
聞いてなかった。
「ご、ごめんっ。何だっけ?」
「作ったやつ、誰かにあげるの?って聞いたんだけど」
「えっ?あ、えっと……虎ちゃんと、あとは蘭にもあげるかな。あ、蘭っていうのは」
「知ってるよ。末永君の双子のお姉さんでしょ?」