早く俺を、好きになれ。
憎たらしいけど、本気で言ってるんじゃないってわかるから怒る気も失せる。
こんなのは今に始まったことじゃないしね。
それに今は1人でいたくない気分だったから、ちょうど良かった。
太陽みたいに明るい虎ちゃんといると、沈んだ心が明るくなる。
「っていうか、待っててくれたの?」
校門を出たあと、並んで歩く虎ちゃんの横顔を見上げた。
左目の下の泣きボクロがちょうど目に入る。
ガキッぽい面がなかったら、もっとカッコ良く見えるのに。
「腹減ったし、なんか食いたくなって。そしたら、ちょうど咲彩が部活だってことを思い出したから」
「思い出したからって……人を便利屋みたいに」
「腹減ったし、咲彩のお菓子が食いたかったんだよ」
虎ちゃんはそう言ってニッと笑いながら、私に向かって手を差し出す。
早くくれと言わんばかりに目で訴えて来てるし。
まったく。
「虎ちゃんって、ホントお菓子が好きだよね」
「いや、俺が好きなのはお菓子じゃなくて……」
「はい、これ。あげる」
虎ちゃんの声をムシしてカバンから袋を出して、その手に乗せた。
今日のお持ち帰りは、織田さんが作った本格的なチーズケーキ。
私が作った物じゃないけど、べつにいいよね。
「って、聞いてねーし……。ま、いいけど。お、今日はチーズケーキ?うまそー!」
子どもみたいに笑って袋を開ける虎ちゃんをジッと見つめる。
武富君は……どんな顔で食べるんだろう。