早く俺を、好きになれ。


「お、おはよう……!小説、読んだよ」



次の日、早速武富君に声をかけた。


緊張したけど、小説のことを一緒に語り合いたくて我慢出来なかった。



「え?もう読んだの?早いね」



またもやビックリしている武富君。


黒目がちな瞳が大きく見開かれた。


そんな顔もカッコ良い。



「うん!っていうか、感動して泣いちゃった」


「あ!やっぱり?市口さんも泣いちゃった?」


「うん。もうヤバかったよー!最後とか!武富君も泣いたの?」


「お恥ずかしい話だけど、すっげー泣いたよ」



そう言って、武富君は照れくさそうにはにかんだ。


へえ。


武富くんって、小説読んで泣くタイプなんだ。


男子って恋愛小説とか読まなさそうだと思ってたから、ものすごく意外だ。


またひとつ、武富君の新たな一面を見つけて嬉しくなった。


だけど武富君には織田さんっていう彼女がいるから、これ以上好きになっちゃいけない。


好きになればなるほど苦しくなるだけだから、気持ちをセーブしなきゃ。


抑えなきゃ。


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