主任は私を逃がさない
史郎くんは相手が誰だろうと、必ずそう答えた。
私と一緒に遊んでいることを隠しもせず、誰に笑われようが、誰にからかわれようが、自分の態度を変えることは決して無かった。
まだ幼かった日の彼と、大人になった彼の姿がピタリと重なる。
青空のように澄んでいた瞳は今も変わらず、ウェーブした黒髪が明るい太陽の光りを浴びて、溌溂と輝いている。
私に向ける微笑みも、私の名を呼ぶ温かい声も、なにもかも同じだ。
あの頃と同じ。変わらない。史郎くんは変わっていない。
……置いてきぼりになんか、されてなかったんだな。
そう思ったらなんだか、懐かしさと嬉しさで胸がじんわり温かくなって、口元が綻んでしまった。
「じゃ、行こうか」
「うん」
絡ませた腕から伝わってくるのは、確かな信頼感。
公園の小さな噴水がキラキラと光を弾いて、足元は柔らかい土の感触がして、爽やかな風の匂いが遠いあの日の記憶とリンクする。
昔の自分達を思い起こさせるような、園内を走り回る子ども達の明るい笑い声。
私達は腕を絡ませ合ったまま、笑顔で一緒に歩き出した。