優しくて温かい場所(Gently warm place)

∴∴傍に居たい


綾華は、私の状態をみて
尋常じゃないと直ぐに判断した。

私を風呂にいれて、
簡単な食事をさせて
話をさせた。

私は、全てを泣きながら
話した。

綾華は、
「くそ、あの親父‼
どこまで、咲桜を
苦しめたら・・・」
と、すごい剣幕だった。

「和真さんには、話したの?」

「ううん、話してない
真っ直ぐ綾華のとこにきた。

でも、お兄ちゃんには、言えないよ。
いくら、あんな親でも
お兄ちゃんは、あいつの基盤を継ぐんだよ。
迷惑かけたくない。」

「なら、咲桜が、咲桜だけが、
犠牲になるの?
おかしいじゃない。」
「うふふ、ありがとう
綾華が、いてくれて良かった。」
「なに、笑ってるの
笑ってるの場合じゃないでしょ
私が、怒り狂ってるのに。」
「わかってるよ。
私を思って泣いてくれるのも
怒ってくれるのも、
綾華だからしてくれること。」
「はぁ。で、どうするの?」
「綾華、私、勝手だけど
ぎりぎりまで、智のそばにいたいの。
智を苦しめる事になるのは、
わかってるけど
智は・・っ、智は‥‥‥‥
私の‥‥‥生き‥‥‥甲斐なの‥‥‥」
「わかった。
咲桜が苦しいときは
そばにいる。
智さんに咲桜が恨まれるときは、
私も一緒に恨まれてやる。」
「ありが・・とうっ‥‥‥
あり・・がとう‥綾華っ」
と、私は涙を止められずに
朝まで泣いて過ごした。


智から電話が
何度もかかるが
こんな声では、
出ることも出来ずに
メールをした。

『綾華の家にいるから、
心配しないで。』と
智からは、
『良かった。』
と、返事がきた。
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