優しくて温かい場所(Gently warm place)

∴∴智①



ワクワクしながら
一日の勤務が終わり
花束を買ってから
マンションに帰る。

ドキドキしながらブザーを押す。
「あれ?おふろかな?トイレかな?」
なんどか、ならすが
ドアが開くことはなく

自分で、開けて中に入る‥‥
なぜか、違和感が‥‥

「咲桜っ、さら!」

リビングの電気をつけて‥‥
寝室に行って‥‥
お風呂‥‥
キッチン‥‥
「ない!ない!
咲桜の物が、全て無い。」

テーブルに目が行くと
料理が置いてあり
その横に手紙があった・・・

そこには・・ただ‥‥一言‥‥‥
さよなら‥‥‥‥と‥‥‥だけ。

咲桜‥‥っ‥さら‥‥っ‥どこ?

さよなら‥‥って、なに?

なぜ‥‥‥荷物がないの?

俺は、その場に崩れ落ちて
立ち上がれなかった。
咲桜に買ってきた花束も
ぐちゃぐちゃに・・・・

翌日・・俺は教師となって
初めて学校を休んだ。

学校に行けず、一週間が過ぎた時
玄関があき、父と母が入ってきた。
学校にいる父の友人が
父に連絡したみたいだ。

母は、俺のあまりの変わりように
涙を流し
父からは怒鳴られた。
俺は泣きながら
咲桜の事を話した。

咲桜にも綾華ちゃんにも
連絡を何度もした、
家にも行った・・・
だが、二人に会うことも話す事も
出来なかった。

父と母の説得は、夜中まであり
俺は、さらに数日たってから
なんとか学校に復帰した。

俺のあまりにも
変わり果てた姿に
生徒からも心配されて
俺は、目が覚めた。
< 22 / 61 >

この作品をシェア

pagetop