living

誠実さんと母ちゃん

それから、心機一転


誠実さんの用意した

マンションに引っ越しをした


誠実さんも堅実のことを引きずり

母さんも亜依里を引きずり

俺は、亜依里と花菜を引きずり



重くなっていた雰囲気が



少し明るくなったのは、誠実さんのおかげ



花菜の携帯は、堅実がつかっていた物
通話料は、給料引きだったけど

〝誠実
ありがとう〟

たったの一言だけ添えた携帯が小包として
ガソリンスタンドに届いたのは、1ヶ月後


何で1ヶ月保管してからの日時指定だったのか

謎だけど


「花菜の野郎、もっとまともに手紙かけねぇのかなぁ
こんなんだから、堅実と伊緒里にフラれるんだ!!なぁ?」

「……」

「……あら!誠実さんったら!
伊緒里が返事に困ってるわ!!」


ほっておいたら、目の前でキスする

すこぶる仲良しな母さん達にいびられ

俺の傷は、塞がることを知らない







すべてを失った

花菜や亜依里に比べたら

アカギレほどの小さな傷

それでも、痛くてたまらない





朔哉と、妹談義をしなくなった






あれから… 沙耶とは、会っていない


嫉妬で、傷つけて


浮気して




結果

彼女と妹をいっぺんに失った


琉成は

「もともと、あのパーティーで最後って、なってた
亜依里ちゃんから、別れのキスを頼まれて」




今更だ



早く言えっての!!!







花菜の料理とか、亜依里と食べるアイスとか、当たり前だった俺の楽しみが






なくなった






< 31 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop