【完】365日、君をずっと想うから。
すると蓮が苦笑するように、眉を下げて笑った。
「優しさなんて知らなかった俺に、花が優しさをくれたんだろ」
「……っ」
その瞬間、限界を超えてぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。
……昨日の夜からずっと、考えていた。
今日学校で会えたら、どんなふうに伝えようか。
でも、蓮の姿を見たら、そんなの全部吹き飛んでしまった。
ただたくさんの言葉の中から、大切な2文字だけが残った。
「蓮、好き……。
好きだよ……」
「花……」
こんなにも、好きだよ、蓮。
想いと一緒に溢れる涙が頰を濡らす。
コウくん色に染まっていたはずの、私の心。
気づけば、蓮の鮮やかな色が、私の心を塗り替えていて。
私、鈍くてバカだから、気づけなかった。
なにより大切な存在に。
「ごめんね、気づくの遅くて……。
でもね、いつの間にか私の心も記憶も、蓮でいっぱいだった……」